上映会随想記

 
 
   2003年    4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
2004年 1月 2月 3月 4月以後は安芸国人・聞き撮り日誌へ
 

『土徳−焼跡地に生かされて』2003年上映会随想記

●2003年7月10日11日 広島 真光寺門徒向け試写会
 2日間で87名の門徒さんに来ていただいた。中には、私が高校卒業以来20年ぶりにお会いしたかたもいた。私を生まれたときから知る方ばかりだ。映画を観ていただくことが、ご挨拶でもするような気分だった。以下アンケートから。
「淳信さまに再び会えて、なつかしく思いました」
「前住職さまの静かに語られる一言一言に重みと厳しさがあり我々次世代を継承していく者たちへのメッセージとして受け止めて頂きました。」
「私も1歳半で被爆しましたが、なつかしい場面に亡き父母をかさねあの原爆のもたらしたものを考える時、“むごさ”“せいさんさ”と言う感情ばかりでこれ迄、ただそう思って参りました。しかしこの度の試写会で雲が晴れて光が差すような思いがしております。我が身、我が家が大変な時代にあって、土地に生きると言うことの意味あいを人間味とともに味あわせて頂きました。」
 そういえば、この試写会の時、途中退出されたかたが一人おられた。被爆者の方で、映画を観て、どうしてもあの日のことが思い出され、気分が悪くなったという。原爆の記憶の傷の深さを痛感する事態だった。

●2003年7月末
 ようやくパンフレットが完成した。佐藤忠男氏、中沢新一氏、金井勝氏、四宮鉄男氏、水原史雄氏、佐々木清氏、バラエティーに富んだメンバーが寄稿してくださった。佐藤氏、中沢氏は、特にご多忙だったので、作品を観てもらうことすらままならない状態だったのに、本当に素晴らしい文章を書いてくださったと思う。
 また全国の主要書店に設置される「La Vue」14号(03/08/01発行)に詩人の今野和代氏というかたが、『土徳』評を寄稿してくださった。私の親戚が、知人であったので、ビデオをご覧いただいたようなのである。今野氏と共通して、イメージフォーラムの恩師・鈴木、金井両氏となどは、それぞれ独特な内面世界を深く追及されてきた方々である。正直このお三方は、作品につき私自身の甘さや宗教家としての父親を厳しく問われるかと思っていた。ところが作品を全面評価はされないが、映画に描かれる父親や門徒衆の生き方になにか共感めいたものを感じてくださったようだ。人間として深く対象を追い求めた映像こそ重要なのかもしれない。それを作者がどう受け止めて作品をまとめるかなのだ。

●2003年7月29日広島 NHK広島放送局  30日 広島 RCCラジオ
 広島NHKの夕方ローカルニュース番組に生出演。翌日もお昼の情報番組にラジオ生出演が、続いた。少々緊張した。広島では、この後原爆の日・前日と当日にインタビュー収録されたニュースが民放3局(広島テレビ、中国放送、テレビ新広島)で流される。また地元の中国新聞では、別記事で三回にわたって『土徳』が取り上げられ、読売・朝日にも取材を受けた。
 この広島の盛況ぶりはどうしたことだろう、東京では、マスコミにアピールするだけでも相当な努力を要したのに、正直驚いてしまった。やはり原爆に対する臨み方からしてまったく認識が違うのかもしれない。
 中国放送の担当ディレクターが言っていた。「2010年に日本の放送局は、全国一斉デジタル化を迎えますが、そうなると東京から、同じ番組ばかり一斉に垂れ流すことになります。ひょっとしたら地方局は、なくなる可能性すらあります。そういった意味で、『土徳』は、今、地方が何を伝えるべきなのかを考えさせてくれました」
 いよいよ8月から一般公開が始まる。